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■そのホテルはお茶の水の駅から歩いてゆける。神保町に向って歩いた明治大学の横手の坂道の上にある。僕が生まれてはじめて泊まりたいと思ったホテル。それが今回宿泊した山の上ホテルだった。10代の頃に読んでいた老舗の文芸誌にあった山の上ホテルの広告にどんなホテルなのだろうと胸踊らせたものだった。だから今回の宿泊はこれまでの宿泊とは思い入れというものがまるで違った。15才からの夢を叶えたという出来事でもあった。
■建物の外観には古きよき時代とも書きたくなるような雰囲気が確かにあります。時代に洗われて残ったエッセンスだけが漂っているとでも書きたいような、そんな一種言葉にしがたい良さがあるのです。
■今回は一休.comで本館スタンダードツインの部屋を予約した。チェックインしたフロントはホテルのフロントというよりは、旅館の窓口のような雰囲気を思い起こさせるものがあった。案内された3階の部屋は漆喰と木肌の調和、シンプルで落ち着いた色調の部屋で、部屋に通
されてすぐにお茶を部屋に届けてくれる気遣いには感心した。またロゴ入りの赤い灰皿など他のホテルとは明らかに違った様子は独特で素直にいいなあと思わせるものがあります。
■部屋はそれほど広いものではないが、年季の入った調度品には新しいホテルにはない独特の雰囲気があって、それは歴史を重ねたホテルだけの確かな風格でもあるが、決してお仕着せがましいものではない。窓からは隣接している大学の校舎と坂道が見える。驚いたのは、これだけ年数を重ねたホテルなのに、インターネットの常時接続をすでに導入していることで、今回はフロントでケーブルを借りてネットを利用した。仕事にも困らない。
■今回すごく便利で感心したのは、部屋に置かれた水差しで、氷入りの水はフロアスタッフに声を掛けると補充してもらえるのだけれど、その時に声を掛けるごとに、先方の仕事ぶりがものすごく丁寧でこちらからごくごく自然にありがとうと声を出せるその雰囲気と行き届いた躾と教育。また、女性スタッフの緑色の制服も雰囲気があってここは自分にとって特別
な場所だと自然と思えるのです。僕の十数年のこのホテルに対する一方的な憧れも報われた気がします。
■1Fのフロント脇のロビーやバーは一見の価値ありです。フロントに向って左の小さいロビーの本棚はさすが文人のホテルといった蔵書です。広辞苑や句歌歳時記など文藝がらみのもので、作家志望の人間にはたまらないものがあるでしょう。また、館内にはマイナスイオンが流れているので、館内散策も健康対策です。
■部屋を出て外の散策に出る時にベッドのカバーを外すことをお願いして、戻ってからはテレビを眺めながら本を読むことにした。本を読むことで時間を過ごすにはもってこいの静けさと雰囲気。マイナスイオンで体調がよくなっているのか、集中して読むことができる。水差しの水をコップに注ぎながら口を潤し、本を読み続ける。
■夜が更けてから急に手持ち無沙汰になって、お茶の水の街に出る。冬で夜が早いというのもあるだろうが、八時前でもう辺りは暗がりになっていた。お茶の水、神保町界隈の夜は驚くくらい闇が深く、東京であることを一瞬疑ってしまうくらいだった。コンビニで飲み物を購入し、ホテルに戻る。ささやかな灯りの中のホテルは寒々しい中にも言いがたい雰囲気を覗かせていた。
■部屋に戻り、シャワーを浴び、髭を剃る。 バスアメニティはピンクの封に入っていて、他のホテルだったらちょっと残念に思えるものも、ホテルの年季を考えるとむしろ微笑ましくさえ思えた。浴室は想像していたよりもしっかりとしていて、古びておらず、というか普通
に使って快適。こういう言い方ができるかもしれません。良く手入れされた10年ものの革靴のようだと。よく手入れされているがゆえにその古さは味になるし、年数を重ねているだけにちょうど人が使うのに馴染んでいると。また年代物の酒のようでもあると。ボージョレのような軽さではなく、滋味があると。
■ベッドは柔らかいという印象は持ちませんでしたが、寝心地は良かったです。ぐっすりと眠れたのはあるいは館内に流れるマイナスイオンによるものだったかもしれません。ホテルは決して設備だけではないし、接客だけでもない、スタッフだけでもなければ、宿泊客だけでもない、そんなことを宿泊そのものを通
して学んでような気がします。勉強になりましたし、また宿泊したいと心底から思いました。
■翌日は今回の宿泊で特典になっていたバーでの一杯かデザート券のうちの選択したデザート券で別
館の地下のレストランでお茶とデザートをいただいた。レストランのスタッフの接客も見ていて気持ちよいものだった。手慣れたというか堂にいったサービスというのは意外に人の気につかないようなさらっとした立ち振る舞いなのだなとも思ったのです。
■一休.comの< 山の上ホテル>予約ページへ■
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(Text:月の輪)
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この山の上ホテルのリポートは滞在時でのものであって、現在の状況とは相違ある場合もあります。また、評価も管理人個人の主観によるものですので、その点の御理解をよろしくお願いします。
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