そのホテルは東京の丸の内にリニューアルオープンした老舗のホテル。ホテルの名前は丸の内ホテル。
大正13年創業のホテルで、いかにも古風な名前のホテルだが実際は洗練されて生まれ変わった大人のためのホテルだと書きたい。
2004年10月、リニューアルオープンした丸の内ホテルに予約を入れた。今回も一休.com。開業プランを眺めたらオープン記念品があるというのに心引かれた。今回は丸の内ホテルに一泊、そして翌日は山の上ホテルに一泊。東京の老舗ホテル巡りという趣向。
JR東京駅から地下道を通る。丸の内OAZO、書店の丸善丸の内本店の入り口脇にひどくさりげなく丸の内ホテルの入り口があった。ドアをくぐり前に進むとエレベーターが。通常の入り口とは別の地下通路用の入り口だったよう。
エスカレーターを昇り、フロント階に到着すると見晴らしのよい通路が。その右手に折れたところがフロントだった。フロアは平面よりも縦に広く贅沢に空間が取られていた。第一印象は男性の年配のスタッフの雰囲気がよいなあという点。さすが老舗(?)。こじんまりとした品の良いフロントだった。女性スタッフの感じもよく、感心しながらチェックインを済ませ、オープン記念品を貰うと別の女性スタッフに部屋に案内された。あとで部屋で覗くと記念品はTシャツだった。
新しいというのはそれだけでも十分魅力だけれど、それとは異なった魅力的な雰囲気があるホテルだと感じた。景色が違うというか。はっきりと色づいていないが見えない何かの色がしっかりとアクセントになって全体に響いているような。もしかしたらそれこそがホテルの教育の行き届いた上でのハーモニーというか調和なのかもしれない。ホテルに飾ってある絵画の趣味もホテルの雰囲気によく合っていた。ただホテル紹介にあったデザインコンセプトがモダンジャパニズムだというのは正直わかるようでもあるが、全くわからないようでもあって、つまりこのホテルのよさというか魅力はそれとは違った方向に向かっているのではないかというのが実際に足を伸ばしての印象。
部屋に入り、什器の説明を受ける。今回は16、17Fにあるコンフォートフロアのスタンダードツインを予約しました。部屋のキーはカード式。窓を開けると眼下には東京の無機質な彩りと人の姿があって、あいにくの雨模様だったのだけれどそれが幸いして色とりどりの傘の動きようが滑稽に見えた。
部屋の調度品は粗い模様の木がふんだんに使われていて、それが上品に部屋の印象を纏めていた。部屋は決して広くはないが、東京駅近辺に宿泊することを考えればそれでも快適に思えるくらいの広さではあった。何より真新しいこの客室の、まだ何人目かの客であることが誇らしく思える、小さいが品格のあるホテルの部屋だ。
ベッドは潜り込むとくすぐったいくらいにすべらかだった。すごく嬉しいというか愉快だったのは時計。銀色の時計が、丸っこい目覚まし時計のような時計がベッドサイドに置いてあって、それだけでこのホテルのセンスはやっぱり只者ではないなと思わせる。こんな洒落た振る舞い(あえてそう書きますが)こっちに謎かけでもしているのではと勘ぐりたくもなります。
調度品はできるかぎりシンプルに抑えられていて、それでいて機能的。実際にデスクに腰を下ろし、書き物をしてみるとびっくりするくらい書きやすい。便箋、封筒、絵葉書はシックだが、抑え目なのが適度に却って主張してくるという感じのデザイン。なかなかの出来栄えです。
バスアメニティは黒を基調としたオリジナル。女性から見るとどうなんだろうとは思いましたが、僕の蒐集心はくすぐってくれました。浴室はシャワーブース分離タイプではなく、それはちょっと残念に思いましたが、浴槽、これはよかった。流線型というか身体を包み込むような形は実際に身体を横たえると包み込まれているようなそんな気はたしかにします。快適に入浴できます。
部屋にはバスローブも用意されていましたが、個人的にはパジャマがお勧めです。肌触りがよく、着心地もよかったです。
ホテル内にレストランはありましたが、折角なので丸の内OAZOから丸ビル散策がてらに書店から地下街の店を歩き、夜は丸善の上にあるレストランのフロアのつばめキッチンで、ハンブルグステーキを食べました。ホテルが静謐な時間に包まれている分、ちょっと騒がしいところで食事をしたくなったのかもしれません。
そのあと再び丸善丸の内本店で本を漁り、ホテルに戻ってからはほどなく眠りの世界に。ぐっすりと熟睡し、鋭気を養いました。翌朝、朝食は9Fのラウンジで。軽食でしたが寝覚めには丁度良いくらい。その後、チェックアウトの時間まで部屋でゆったりと時間と戯れながら過ごし、時間になって山の上ホテルに移動したのでした。
(Text:月の輪)
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